Mac OS X でオープンソース電子 CAD の KiCad をインストールする
Mac でオープンソースの電子 CAD KiCad をソースからビルドしたときに結構苦労したので、その記録。環境は OS X 10.9.5(Mavericks) + Homebrew。
ほぼ「Building KiCad from source on Mac OS X - Thomas notes」に従った。これの誤り修正程度。
必要なライブラリ・ツールのインストール
まず XCode の Command Line Tools を更新しておく。
xcode-select --install
Homebrew で以下をインストールする。
- CMake
- Bazaar
- GLEW
- Cairo
brew install cmake bzr glew cairo
Bazaar で自分の名前とメールアドレスを設定しておく。
bzr whoami '自分の名前 <name@example.net>'
KiCad ソースコードのダウンロード
Launchpad 上のリポジトリからソースコードをダウンロードする。作業ディレクトリは ~/Applications/KiCad/ にしてみた。
mkdir ~/Applications/KiCad && cd ~/Applications/KiCad bzr branch lp:kicad # 容量が大きいのでやや時間がかかる
wxWidgets のビルド
GUI ツールキット wxWidgets を使うので、ダウンロードし、ビルドする。KiCad のビルドスクリプトが固有のパッチを当てるので、Homebrew は使えないらしい。
KiCad でスクリプトを使えるようにするには wxPython も必要だが、とりあえず今回は使わないことにした。
まず wxWidgets のソースコードを SourceForge からダウンロードし、作業ディレクトリに保存する。これを tar
で展開する。
# ~/Applications/KiCad/ で tar -jxf wxWidgets-3.0.2.tar.bz
OS X 10.10(Yosemite)の場合
OS X 10.10(Yosemite)で wxWidgets 3.0.2(3.0.3 では修正済みで必要ないとのこと)を使う場合は、手動でソースを修正する必要があるらしい(未確認)。wxWidgets-3.0.2/src/osx/webview_webkit.mm の 31 行目を
#include <WebKit/WebKit.h>
から
#include <WebKit/WebKitLegacy.h>
へと修正する。
KiCad 付属スクリプトでのビルド
KiCad にビルド用スクリプトが付属しているので、これを使って wxWidgets をビルドする。数十分と非常に長い時間がかかる。
i7 だったので、スレッド数を 9 にして全力でやってもらった。これは Gentoo の MAKEOPTS での設定(CPU 数 + 1)に倣ったもの。
# 非常に長い時間がかかる # OS X 10.10 では '10.9' を '10.10' にする sh kicad/scripts/osx_build_wx.sh \ wxWidgets-3.0.2 wx-bin kicad 10.9 '-j9'
上の記事では 10.9
が抜けていたので、ビルドに失敗した。
KiCad のビルド
wxWidgets のビルドに成功すると、wx-bin/ というディレクトリができる。これを使って KiCad をビルドすることができる。
ビルド用の作業ディレクトリ build/ を作って KiCad をビルドする。まず cmake
で Makefile を作る。
mkdir build && cd build cmake ../kicad \ -DCMAKE_C_COMPILER=clang -DCMAKE_CXX_COMPILER=clang++ \ -DwxWidgets_CONFIG_EXECUTABLE=../wx-bin/bin/wx-config \ -DKICAD_SCRIPTING=OFF -DKICAD_SCRIPTING_MODULES=OFF \ -DKICAD_SCRIPTING_WXPYTHON=OFF \ -DCMAKE_INSTALL_PREFIX=../bin -DCMAKE_BUILD_TYPE=Release \ -DCMAKE_OSX_DEPLOYMENT_TARGET=10.9 \ -DCMAKE_OSX_SYSROOT='/Applications/Xcode.app/Contents/Developer/Platforms/MacOSX.platform/Developer/SDKs/MacOSX10.9.sdk' # OS X 10.10 では下の 2 行の '10.9' を '10.10' にする
上の記事では下の 2 行が抜けていたので失敗した。
Makefile を生成できたら、ビルドする。この作業もかなり時間がかかるので、しばらく待つ。
make
make install
上記が終わると、最初の作業ディレクトリから見て bin/kicad.app に実行ファイルが生成されているはず。
標準ライブラリのインストール
実行前に KiCad の標準ライブラリ(部品集)をインストールする。
cd ~/Library/Application\ Support git clone https://github.com/KiCad/kicad-library.git kicad cd kicad && touch template/kicad.pro
KiCad の実行
~/Applications/ 以下にインストールしたので、Launchpad(Dashboard にある方)から KiCad を起動することができる。