ochalog

Ruby と MediaWiki が好きな電子・情報系の学生のブログ。

研究分野への興味の喪失

夏休みに入り、興味を持ったソーシャルデータの分析の研究室の先生とお会いしてお話を伺った。その後、提出しなければならない修士課程の研究計画書を書くために調査をしていたが、調べているうちに興味がなくなってきた。

先生との面談の際には、ここ何年かの実習で災害についての情報を扱う機会が何回かあったこともあり、ソーシャルメディアへの投稿から災害についての情報を検出し、物理センサを補完するような仕組みを作りたいと伝えた。特にこの時期に多く起こる豪雨災害を対象にしようと考えていた。そのまま話が進んだので、研究計画書を書くためにさらに調査を進めたが、調べていくと成功する見込みが少ないと感じられるようになった。

例えば代表的なソーシャルデータであるツイートを収集するボットを作るのは今からすぐにできると思う。作っていたIRCボットのcre-ne-jp/rgrbTwitter gemを使っている経験があるから、APIについて調べて利用し、得られたデータを整形すれば良いだろう。自然言語処理を利用した必要なデータの抽出も、頑張って勉強しながらなんとかできるようになりそうだとは思った。その後の他データとの比較は、時刻や位置情報に注目しながら地道にやっていくことになるだろう。

問題はテーマに当てはまる投稿がそもそもあるのかどうか。調べていくうちに、これが心配になってきた。

最近の関連研究はほとんどない。東日本大震災の直後は結構多いように見えたが、最近は下火になっているようだった。これは興味を持っている人が少ないか、やってみたが成果がほとんどないということを示しているように感じられた。

それなりに上手くいっていそうな例は、早稲田大の「人間科学研究」に載っていた、服部による「位置情報付きツィートから事象 (自然現象・異常気象)・災害を可視化する手法の開発」だけだった。ただ、修士論文の要旨なので詳細は分からなかった。

他に、災害情報No. 14(2016)に掲載された潮崎・牛山による「豪雨時における災害危険度の高まりを推定するための電話通報数の活用について」の参考文献に載っていた、影澤らによる「Twitterを用いたセンシングシステムの提案と考察」(「マルチメディア、分散協調とモバイルシンポジウム2014論文集」に掲載)が気になったが、人が多い新宿でも降雨初期のツイートが数件というのを見て愕然とした。一応降雨を検出できたことになっているが、1時間に少なくとも数千件のツイートを収集しているのに対象ツイートがこの件数になるというのでは、多少のシステムの改良ではどうしようもないほど関連するツイートの絶対数が少ないということではないだろうか。

さらに同じ日に読んだ2015年関東・東北豪雨災害土木学会・地盤工学会合同調査団関東グループによる調査報告書を読んでより悲観的になった。p. 135の「避難情報の入手手段」の図の「SNSTwitter、LINE、Facebook等)」の割合が0.4%(N = 516)というのは、要するに、そんな大災害のときに呑気にSNSに興じているような人はほとんどいないことを示していると思われた。一応「入手手段」なので投稿数もそれくらい少ないとは限らないが、平時に近い上の新宿の場合と比べれば、非常時には普通は減るだろう。また、別の豪雨災害の2014年広島豪雨は深夜に酷い被害が出たことから、そのような場合もSNSへの投稿はほぼなくなるだろうと推測した。

というわけで、ここ数日集中して調べた限りでは、豪雨災害を研究対象とすると投稿のサンプルが集められずに挫折する可能性が高いという予想になった。そのため、自分はこのテーマに賭けようという気持ちになれなかった。

他には研究室の本流らしい観光に関連したデータの抽出が流行っているようだったが、利用者に合わせた推薦の手法の提案ばかりで、差別化が難しいと感じた。あまり興味が持てなかったこともあり、今は独自のテーマが浮かびそうにない。


当初は個々の技術がおもしろそうだと思っていたが、適用できそうな範囲の狭さを知り、ソーシャルデータの分析への興味がなくなってきた。代わりの案はまだ浮かんでいない。